【人材育成のヒント】思考力が高い人とは・・・

人材育成

「人を用うるの道は、その長所をとりて短所はかまわぬことなり」

江戸時代の儒学者 荻生徂徠(おぎゅう そらい)の言葉です。今から300年以上前の言葉ですが、現代に生きる私たちにも役立ちます。人の短所は気になるもの。でも人の良い所に着目することが大事。シンプルだけれども大切な視点だと思います。

荻生徂徠の言葉には続きがあります

「人を用うるの道は、その長所をとりて、短所はかまわぬことなり。長所に短所はつきてならぬもの故、短所は知るに及ばず。ただよく長所を用うれば天下に棄物なし」

長所に短所はつきものとは、まさにその通り。大雑把な人は、おおらかな人でもある。傷つきやすい人は、繊細で優しかったりする。礼儀正しい人は、時に慇懃無礼になることもある。

「長所に短所はつきもの」に関して、私が若手研修講師だった頃の苦い思い出があります。ヒューマンアセスメント研修(人材育成・評価するための研修)で、ある受講者の評価が割れました。私が「思考力が高い」と評価した受講者を、年配の先生が「思考力が低い」と評価したのです。

たしかにその受講者は、思考スピードが早いタイプではありませんでした。どちらかというとじっくり考えるタイプ。思考の深さがある分、考える時間が必要なわけです。その受講者を「思考力が低い」と切り捨ててよいのか? 私は年配の先生と議論しましたが、最後は相手の権限で押し切られてしまいました。

たしかに、会話のテンポが速い人は、頭が良いように感じます。でも、会話のテンポが遅くても、思考力が高い人はいるのです。いわば、明石家さんまさんと又吉直樹さんの違い。発言量や存在感はさんまさんが圧倒します。さんまさんの頭の回転の速さはすごいなと思います。一方、又吉直樹さんは声が小さく、言葉をじっくり選んで話します。さんまさんのようなスピードも派手さもありませんが、話す内容に深さを感じます。

さんまさん又吉さんそれぞれに良さがあります。「人を用うるの道は、その長所をとりて短所はかまわぬことなり」改めて噛み締めておきたい言葉です。

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